エピソード17:ANAとJALが日本で良いパイロットを育てようとする活動が本気で凄まじい。[ANA編:学校への支援体制と現役キャプテンの派遣]
こんにちはトロポです。
あまり知られていないものの、今JALとANAが本気で1人でも多く日本で優秀なパイロットを育てようともはや必死に活動しています。
その全てを解説します。まずはANA編です。
ANA×JAL共同で無利子で500万円の奨学金を貸すよ
https://www.ana.co.jp/group/pr/pdf/20171128-2.pdf
2017年、ライバル会社のANAとJALは共同で奨学金を提供することを発表しました。
無利子で500万円借りれます。
始めた頃の対象は桜美林大学、東海大学、崇城大学、千葉科学大学、日本航空大学校、新日本航空株式会社、最近は第一工業大学も追加されたようです。
2019年度の各養成機関の募集人員は
桜美林大学:5人、東海大学:5人、崇城大学:5人、日本航空大学校:3人、新日本航空株式会社:3人、千葉科学大学:3人、 第一工業大学:3人
これにお世話になってる現役の私立大学パイロットコースの人も結構います。
ただしこの奨学金の注意点は、学校を卒業した翌月から返済が始まるということです。
10年で返済とすると、年間50万円、つまり1ヶ月で4万円程度の返済になります。
入社したばかりの頃はまだ給料が高くなく、しばらくはご両親に借りるなりする必要があるかもしれません。
ANAは学校に支援体制を作り、なんと現役のキャプテンを派遣している
ANAは2006年に、東海大学のパイロット養成コースの設立に際し、東海大学を支援する体制をとりました。
当時は初めての私立大学のパイロット養成コースの誕生で、エアラインとしてその卒業生をパイロットとして採用することは未知の領域で何の保証もない時代でした。
しかも基礎訓練を受けている学生の質を上げるために、
教授として現役のANAのキャプテンを学校に派遣することにしました。
当時は衝撃的な事だったと思います。他の企業で社員を学生の教育のために大学に派遣しているなんて聞いたことありますか?
しかも必要なパイロットは、航空大学校と自社養成で確保できていた会社が、です。
教育した学生すべてが後々ANAに入社するならまだ理解できますが、ANAに入社しない学生にも教えを伝えるわけです。
つまり航空業界全体のために、という考えですね。
こんなことはよっぽど企業体力がないとできません。
東海大学の卒業生は日本で就職活動前にシミュレーターでお世話になったりと心あたりがありますよね?
上記のような経緯もあり、東海大学からJALに入社はしていませんが、ANAには毎年10人いかないくらいの人数が採用されているようです。
JALは全ての私立大学を合わせてもこの規模の人数を採用してはいません。
ANAへの就職実績だけで見るなら東海大学は他の私立パイロットコースから頭1つ抜けています。
ANAは航空大学校に現役の機長を2人教官として派遣して直接フライトを指導している
https://www.aviationwire.jp/archives/114680
これも衝撃なんですよね。
2014年からANAは現役の機長を派遣していますが、
つい昨日までB777のような大型機に乗っていたキャプテンを、航空大学校で小型のプロペラ機での教官として派遣しているわけです。
学生は基礎訓練で直接、現役ANAのキャプテンからのフライトを教わります。
他の私立大学や民間訓練会社では、訓練委託先である民間訓練会社の外国人だったり日本人のパイロットからの教育ですが、航空大学校では直接ANAのキャプテンが航空大学校の教官と共に教えているわけです。
航空大学校の訓練の質の高さがここからも良くわかります。
航空大学校でもANAに入社しない、なんならJALに入社する学生にもフライトをしっかりと教えているのです。
こんな業界ありますかね?
業界全体、つまり日本のエアラインパイロット全ての質を高めようとしています。
次の記事はJALの取り組み紹介です。
まとめ
ANAとJALがタッグを組んで500万円を無利子で貸してくれる。
ANAは東海大学や航空大学校に現役のキャプテンを派遣。
航空大学校では実際プロペラ機で学生と一緒にフライトして教育を行っている。
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