エピソード15:エアラインパイロットになりたいのか、JAL×ANAにいきたいのか、国際線パイロットになりたいのか、私達は何になりたいのか?[エアラインで働くイメージ1]
こんにちはトロポです。
エアラインに興味のある方々は自分が何になりたいのか、いつ想像したのでしょうか。
現役でエアラインパイロットやっていて、私は自分がこの仕事のイメージや将来の姿を明確に意識できたのは航空大学校で訓練をしてからです。(もしかして遅い?笑)
エアラインは国はもちろん、日本国内でも会社によって全くカラーが違いますし、勤務内容も違ったりします。
CAなんかは特にそうですよね。
LCCとレガシー(大手)では会社のコンセプト が違うのでサービス内容や勤務体系が全く違います。
特にビジネスクラスがあるかないかで全然違います。
パイロットにも違いはあります。
それは操縦する機種だとか、就航する路線だとか。
外国に行くかどうかも違うわけですね。
2020年卒の就職活動も始まってますね。
エアラインを目指して何になりたいのか?
皆さんが将来をイメージするのに参考になるような、今回の記事は「エアラインで働くイメージ」シリーズその1です。
航空会社を知らない人はいないけど
きっとこの記事を読んでくれる人には
小さい頃からJALやANAのファンで、旅行した時の素敵な思い出が宝物で、航空会社への夢や憧れを抱いている人もいると思います。
女性の中には親がエアステージを毎月買って読ませてくれたっていうお嬢様もいるかもしれません。
(エアステージは航空業界関連の雑誌ですが、女性向けの内容がほとんどの雑誌です)
エアラインの社員の中にはエアステージに載った人もいるのではないでしょうか、表紙に載った子もごくごくたまにいます。
逆にJALとANAの違いがわからない人もたくさんいるでしょう。(私も大学入るまでは違いが良くわかりませんでした笑)
そんな人でも航空会社はB to C(Business to Customer)企業(つまりお客様は法人ではなく一般の消費者が対象の会社)
なので航空会社が何をしてる会社なのかわからないって人はいないでしょう。
そう航空会社は飛行機を使用して、人や貨物をある地点からある地点まで送り届ける仕事をしています。
その中でも様々な仕事をする人がいますが、パイロットのイメージって皆さんどんなイメージでしょうか?
Good Luckやミス・パイロット、ハッピーフライトなんかのドラマや映画のイメージが強い人が多いかもしれませんね。
みんな知っているけど、実は知らない。そんな世界だと思っています。
エアラインパイロットと他のパイロットの違いは?
パイロットに興味がある人は考えたことがあるでしょうか?
エアラインパイロットになりたいのか、自衛隊等で戦闘機や輸送機のパイロットになりたいのか。
パイロットといっても実はそれ以外にも色々あります。
まとめて使用事業という言い方をします。
使用事業は、空撮や農薬散布だとか遊覧飛行だとか、セスナみたいな軽飛行機やヘリコプターを使う仕事ですね。
ニュースなどで空からの映像が流れると思いますが、使用事業のパイロットはあそこで活躍しています。
パイロットの民間訓練会社も使用事業の会社だと分類することができますね。
ではエアラインパイロットとは何か?
定期的(ダイヤがある)又は不定期(チャーター機)に、人や貨物をある地点まで送り届ける会社(=エアライン)のパイロットのことです。
だいたいジェット旅客機を扱っていればエアラインと思って大丈夫です。
エアラインとは別で、小型ジェット(プライベートジェット)を使う仕事がありますが、これは資産家(ZOZOの前田社長とか)が雇ったパイロットが社長や社長の会社が所有しているジェットを飛ばすというカタチで仕事をしています。
この世界はちょっと一般からはかけ離れてますね笑
(プライベートジェットでは実は日本の製品が今アツいんですよ。ホンダのホンダジェットです。)
パイロットにも色々あるわけです。
エアラインパイロットになりたいの?それとも有名なJALやANAで働いていたいの?
さてここでエアラインパイロットを考えている人に問います。
パイロットになりたいの?それとも単にJALやANAなどの大手で働きたいの?
航空業界を良く知らない人はパイロットってJALかANAに入社してなるものではないの?と思っててもおかしくありません。
また航空業界に詳しくて私立のパイロットコースや航空大学校に入学を考えている人も、エアラインパイロットになりたいけど実はどの会社で働いてみたい、というのは具体的に考えていない人がほとんどじゃないでしょうか。
それでも良いと思います。日本の会社って給与とか福利厚生とか大事な情報が採用ホームページからだとあまりわかりませんから。
ただ絶対にこの道を目指すなら、自分は大手航空会社じゃないとダメなのか、それともスペシャリストとしてのパイロットという仕事をしたくてこの道を目指すのか一度しっかり考えてください。
そして考えるにあたって絶対私のこの記事が役に立ちます。
現役パイロットが考える、大手航空会社のメリット・デメリット
ANAやJALのパイロットと他の会社とを比べて考えてみました。
大手のメリット
①給与水準と福利厚生が良い
②日本のエアラインで大型のジェット機を操縦できる(B777、B787、A350、A380)
③長距離国際線を経験できる(ニューヨークやロンドンなど)
④ブランドイメージ、知名度が高い
パイロットとしては日本で②と③が叶うのはANAやJALだけです。
大手のデメリット
①副操縦士になってから機長に昇格するまで約10年と長い(大手じゃなければ最短6年くらい)
②長距離国際線に乗るが故に、時差、徹夜、日本にあまりいない、長時間の勤務など体に負荷がかかる
③複数の機種に乗ることや国内から外国まで様々な知識を要求され、勉強量が多い
④大型機に乗ると着陸回数が少ない(これはパイロットの皆さんはデメリットとしてけっこう思うんじゃないですかね)
①は大事です。やっぱり機長にならないとこの仕事の醍醐味を全て味わうことができなんですよ。私もまだ若手の副操縦士ですがやっぱり早く機長になりたいですね。
待遇も仕事の面白さも全然違うと聞きます。(責任も重くなり最終責任者故の孤独も感じるそうですが)
スペシャリストとしてのパイロットを考えるなら機長に早くなった方が良い理由として資格とPIC時間があります。
機長の資格はATPLと呼ばれますが、これと機長時間=PIC(Pilot in Command)時間はパイロットのキャリアの黄金の矢です。
パイロットの能力は世界共通であることはエピソード2で記事にしました。
ここで海外でも通用すると書きましたが、海外のエアラインで機長という職業に応募するためにはほぼほぼこの、ATPLという資格とJET機でのPIC時間が必要になります。
つまり機長に早くなればなるほど海外で機長として通用するスキルを蓄積できるわけです。黄金の矢ですね。
(例えばエミレーツのA380やB777の機長にAPPLYするにはジェットで3000時間のPIC時間が必要です)
②ですが、健康に関しては言わずもがなですね。パイロットが健康オタクが多いのも頷けます。
③は例えばボーイングの機体とエアバスやエンブラエル、ボンバルディアとは設計思想が違いますし、それぞれマニュアルが違います。パイロットは1つ1つの空港について研究して仕事に臨むので路線数が多いとそれだけでげっそりです。
④着陸がやっぱり面白いんですよ。難しいですが。基本マニュアルで着陸しますがスペシャリストとして自分のスキルの上達がこれほど感じることができるのはそうそうないでしょう。
長くなったのでその2に続きます。
まとめ
エアラインとは航空機を使って人や貨物をある地点に運ぶ会社。
大手航空会社のメリット・デメリットを考えてみた。
トロポ@東京×パイロット×ブログ (@tropo_aviator) | Twitter
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