エピソード3:エアラインパイロットになるのにかかる期間は?資格の解説。
こんにちは、トロポです。
前回に続きパイロットのキャリアについてのお話です。
エアラインパイロットのキャリアパスの初期は
2年弱~3年半くらいの期間をかけて旅客機の操縦、運用を学ぶというものです。
スペシャリストになるにはそれなりの時間がかかります。
自己紹介!おさらい!
前回も書きましたが私自身のキャリアをサクッと。
4年制大学
→
航空大学校にてパイロットの(きびしい)基礎訓練を受ける
→
国内航空会社就職
→
地上業務(パイロット以外の仕事場にてN年Xヶ月業務)
→
ジェット旅客機の訓練を経て副操縦士として現在は旅客機を飛ばす毎日。
この仕事が好き
エアラインパイロットのキャリアパスの初期とは?
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2種類の基礎訓練
1.CPL+IR(事業用操縦士+計器飛行証明)コース(1年半~2年半)
これは事業用操縦士(CPL / Commercial Pilot License
自動車でいうと第二種免許。
つまりプロのパイロットとしてお客様からお金を頂いて飛行機に乗せて目的地まで送り届けて良いですよ
というライセンス。
と
計器飛行証明(IR / Instrument Rating)という
外が見えなくても計器だけでも飛べますというライセンス。
あとは
CPLでは限定変更を行って
多発限定(LM/Land Multi-engin)を取得します。
単発限定(LS/Land Single-engin)からLMに変更になるわけですが。
要は
エンジンが1つだけの飛行機だけでなく
エンジンが2つ以上の飛行機も操縦できるよ!というライセンス。
他にも航空無線通信士(無線使って良いよというライセンス)
や
航空英語能力証明(パイロットの無線通信は航空英語を使うのでその能力があることの証明)
や
航空身体検査証明
(法で決められた基準で身体を検査してこれをクリアしないと飛行機の操縦はできない)
などの資格をとります。これらは次に出てくるMPLコースでも同じ。
この基礎訓練にかかる期間は
座学が週5日、朝から夕方までみっちり講義が入ってるとして3~6ヶ月
単発機(エンジンが1つ)での、フライト訓練が1年~1年半
双発機(エンジンが2つ)での、フライト訓練が3~6ヶ月
合計で1年半~2年半くらいかかる。
期間に差があるのは養成所によってシラバスにばらつきがあるのと、
法的にパイロットになるのに必要な時間が
特別に短く設定できる養成所(航空大学校など)とそうでないところがある。
そして天気が良くないと初期の間の訓練は飛べない(計器飛行証明がないと雲に入れない)から。
「今日は大雨、訓練キャンセル!」
通称キャン。こんな会話が訓練生の会話では良く出てきます笑
訓練では時間も大事だと思うけど、訓練の密度も大事。
同じ1時間を飛ぶにしてもなんとなく飛ぶのと色々準備してきて飛ぶ、ただ黙って飛ぶのと隣の教官の様々な教えを受けながら飛ぶのでは天と地ほど違う。
これはプロになってからも変わりませんね。
ずっとずっと向上心を持ってないといけない仕事であります。
2.MPL(准定期運送用操縦士)コース(1年3ヶ月~1年7ヶ月)
准定期運送用操縦士(MPL / Multi-crew Pilot License)
は副操縦士になるためのライセンスで
2人乗りの航空機=旅客機を操縦できる。
(CPLとIRとLMが混ざった感じ)
ただし1人乗りの飛行機は操縦してはいけないから旅客機のパイロットだけど、
プライベートでセスナを借りて飛ばすってことができない。笑
(自費で自家用操縦士(Private Pilot License、PPL))を取得すればOK。会社が取らせてくれる場合もある。)
このMPLという資格は日本ではかなり最近できたライセンスで
2014年に日本航空(JAL)がMPLでの訓練をスタート、
続いて全日本空輸(ANA)も始めたから
日本では大手2社が導入しているライセンス。
もちろんまだMPL出身の機長は誕生していない。
訓練内容はだいたいCPL+IRと同じだけど、
あくまでも旅客機の副操縦士になるのに特化した訓練であるということ、
そして双発機(エンジンが2つ)でのフライト訓練が
プロペラ機ではなくて、
なんと小型ジェット機を使っての訓練を行う
からCPL+IRよりも訓練期間が短い。
大手の公式サイトによると訓練期間は1年3ヶ月~1年7ヶ月。
日本の養成所でMPLの資格を取得できる場所は未だなく、
MPLの訓練生はアメリカやヨーロッパの空で訓練します。
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ジェット旅客機の訓練(4~8ヶ月くらい)
基礎訓練乗り越えたよ!やったぜ!やっと帰国!夢の旅客機訓練!
そんなテンションでジェット旅客機の訓練が始まります。
が
結局勉強漬けテスト漬けの日々は変わらないわけですね。
内容はジェット機のシステムなどを学ぶ座学と
フライトシミュレーターを使った訓練、
そして実際の旅客機を使っての離着陸訓練(通称タッチ&ゴー)
この離着陸訓練は
中部国際空港、グアム国際空港、関西国際空港、
北九州空港、長崎空港、鹿児島空港、下地島空港
で訓練を行ってるからもしかしたら見たことある人もいるかもしれませんね。
会社によりますが訓練期間は4~8ヶ月といったところです。
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現場デビューして旅客便でのOJT(4~6ヶ月)
やっとたどり着いた現場。
地上支援の方々、整備さん、CAさん、パイロットとは別の職業の人との連携。
何よりもお客様の存在。
これが4~5ヶ月、今まで以上に厳しい訓練です。
最後に審査に合格すれば晴れて副操縦士です。
まとめ
エアラインパイロットのキャリアパスの初期は
2年弱~3年半くらいの期間をかけて
旅客機の操縦、運用を学ぶというものです。
一般企業に勤めたら3年あったら中堅どころ、
場合によっては部署のエース、
駐在マンになってるかもしれませんが、
エアラインパイロットではそれだけの期間をかけてやっと現場に出てきます。
FaceBookは3年で、マイクロソフトから2億4000万ドル(260億ドル)の出資を受けました。
20代の3年は大きい。
パイロット(=スペシャリスト)の訓練に3年をかける。
これは長いの?どう考えれば良いのでしょうか?
このことの意味を後々の記事で語っていきたいと思います。
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そうなれば私が自分のつてで色々なエアライン関係者に実情を聞いて、その結果を記事にまとめることができるので皆さんに有益な情報をもっともっと送ることができます。
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おしまい。